勝木 元也

島園 進

ホアン・マシア

村上 和雄

本山 博

第27回 IARP年次大会講 師 インタビュー(IARPマンスリーより)

本山 博先生

真の人間観とは

今、科学技術が進歩して、DNAで人間の生命を変えるようなことがおきています。それは、人間の価値を金換算する資本主義、心を忘れた科学主義の下で、人間は物として扱われるようになってしまったからだと思うのです。人間は身体のみの存在であると、政治や経済もみんなくるめて認識するようになってしまったと思うのです。けれども、人間は身体だけの存在ではない、ということをもう一度皆さんに知ってもらいたいと思います。

人間は、身体だけではなくて、心も魂も持っているということを知らないと、欲望とかそういうものだけに追い回されて、道徳もないし自省もできない、物になり下がった存在になってしまう。つまり、今のDNAやクローンの問題にしても臓器移植の問題にしても、究極の立場、魂の次元から見たところでは、「人間に魂があって生まれ変わり、自分がしたことによって今の自分が決まっている」ことを抜きにしているために起きてしまったことなのです。目が覚めて魂のところで見れば、自分のしたことで今の自分のあり方や生き方、性別とかいろんなものが決まっている。それで、どうにもならない病気になってしまうというのも、自分のしてきたことによって決まるわけですね。そして人間が死ぬとか、生きるというのも、自分の魂の持っているひとつの今までのありようによって決まってきたことなのです。ですから、それを身体だけの次元で命をながらえるとか、あるいは身体だけの次元、あるいは身体にかかわって働く能力等の次元で、優秀にするために遺伝子を組み替えるというのは、二つの面で真理に反していると思うのです。

ひとつの面は、地球ができて四十億年ぐらい経つのですが、人間ができてきたのはつい四百万年ぐらい前のことです。けれども、その間ずっと、自然と生きとし生けるもの全てが共存し、共生できていたわけですね。そういう自然の大きな歩みがあってその中で人間ができたわけですが、しかし、その人間が自分だけの都合のために、その歩みを無理に変えるようなことをした時に、本当に人間というのは生き延びられるかどうかわからない、ということですね。

もうひとつは、魂の次元から考えると、前世のカルマというものから人間のあり方、今のあり方が決まっているわけですから、そういうものがDNAを決める原因だと思うのです。しかし、カルマを成就してそれを超えることによって霊的な成長ができる、本来の魂に帰るということを無視して、自分のしたことに頬被りをして、今の身体だけが元気になり、長生きするということは、ただこの世で生きたいという自分の欲望のためだけに、自分のしたことを押し曲げることになります。ですから、これは本人にとっても、人間の魂の成長、心の成長ということにとっては決して正しいことではないのです。これはやはり人間は身体だけで成り立っているとする人間観からくるあやまりです。

それで今回の大会では、人間というのは身体だけのものなのか、それから心というのはただ脳の影響にすぎないというだけのものなのか、命というのは単純なものだけでできているものなのか、やはりそこに魂を考えないと人間の存在というのは理解できないのではないか、ということを、あらためて色々な分野の方々から講演をして戴きます。そして、私自身も長い間、魂があるかないかという問題に取り組んできて、魂とはどういうものなのかということを、間接的ではあるけれども科学的に証明したことに基づいて、人間を身・心・霊という三つの次元から全体的に考える、そういう話をしたいと思います。

 キーワードは、人間は身体だけではない。魂を含めた人間全体を考えなければいけないということ。心や魂をくるめた人間観を確立しないといけない、ということです。

現代科学の貧しさ

 科学の領域の中で、科学のぎりぎりまで調べていけば、当然、科学というのは心がない学問ですから、そこから出てくるのは物のメカニズムだけで、心については出てこないということがわかるのだと思うのです。それを自覚できるのは真の科学者で、自覚できない人は科学という井戸の中に落ち込んで出てこられないのですね。彼にとってはその井戸の世界が全てだから、外には野原があって、木々が生い茂り、他の生物がいっぱいいるというのがわからないわけです。

悪魔的な世界に警鐘を鳴らす

人間の身体とか物体については感覚でつかまえることができます。それについては誰でもが共通の感覚を持ち、同じ経験を持っているからみんなが認め合うことができるからですね。けれどもここで皆と共通する感覚を持っていない人間がいた場合、あるいは他の人とはまた別の感覚、たとえば超感覚を持っていた場合、その人の言うことは普通の人にはわからない。神様とか魂についても、やはり経験してみないと、それを掴んでみないとわからないわけですね。宗教は教義だけに固まって、現実に人間の心を何も導かないようになってしまいました。

物理的に物の面で豊かな生活をしたいという人間のもうとめどもない欲望の下に、科学がどんどん進んで、癌でも或る程度治るようになったし、いろいろできるようになりました。けれども或る意味ではそれに時代が幻惑されているのです。経済や政治そのものが、人間を物としてみるようなイデオロギーで動いている。だから、今ぐらい物が豊かであるにもかかわらず、平気で人を殺したり、物を盗んだりする凶悪な犯罪が多くはびこった時代はなかったように思います。昔は、こうした犯罪に対してもっと世間ももっと厳しい対応をしたように思われます。非常に今は悪魔的な世界ですね。

そういうものに警鐘を鳴らそうというのが、今度の大会のひとつのねらいなのです。このままでは人類は滅亡するのではないか、危機的な状況にある今、勝手にいろいろDNAを操作しクローンを作るようなことをしているけれども、自然に反したことを人間が勝手にやってできるものだろうか。できないと思います。

(了)

(文責 IARPマンスリー編集部) 


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