第27回 IARP年次大会

講演会&パネルディスカッション

2002年6月16日(日)千代田区公会堂  10:30~17:30

-生命科学の根幹を探る-

いよいよクローン人間の誕生が秒読みに入ってきました。新しい生命科学技術が驚くべき速さで開発され、個別の技術に対する賛成反対では間に合わなくなってきました。

もはや生命倫理問題は専門家の間で問われるのではなく、私達一人一人の問題として考えねばなりません。

そこで、この大会では、生命倫理問題の根底に流れる「生命観」、「いのち」に関する考え方を、科学と宗教の著名な方々に語っていただき、私達の「生命観」を形作るうえでの糧にしようと思います。

小田 晋 先生 (筑波大学名誉教授)
勝木 元也 先生 (岡崎国立共同研究機構 基礎生物学研究所所長)
島薗 進 先生 (東京大学宗教学科教授)
ホアン・マシア 先生 (上智大学神学部教授)
村上 和雄 先生 (筑波大学名誉教授)
本山 博 先生 (CIHS学長、IARP会長)

   -講演者・討論者の紹介&講演要旨・プログラム-


主催者よりご挨拶

今年度の年次大会のテーマは「生命倫理」です。生命倫理の問題は非常に幅広いものですが、今回私たちは、クローン技術やES細胞で今問題となっている、「いのちの始まり」に焦点を当て、「生命倫理」についてみなさんとともに一緒に考えたいと思います。

近年の生命科学は、クローン技術やES細胞をヒトに応用できる段階にまで達しつつあります。しかし、ヒトのクローンや、ES細胞を作る際にはヒトの卵子や胚を操作する必要があります。そのため、受精卵や胚がヒトの「いのちの始まり」にあたるかという問題を、これまでのように抽象的で曖昧なままに放置しておくことはできなくなりつつあるのです。

さらに、ヒトの「いのちの始まり」という問題は、単にヒトの卵子や胚の操作という倫理上の問題に留まりません。この問題を突き詰めて考えると、それは必然的に「肉体と精神の関係」という大きな問題に至るからです。

21世紀になり、科学の側も、宗教の側も、この問題に対して具体的に取り組まざるを得なくなってきたとも言えます。そして、これまでに多くの人々によって主張されてきた「科学と宗教の統一」が求められているように感じられます。

しかし現実には、生命の誕生に関わる科学の進歩は非常に早く、一方宗教や生命に関わる価値観は多様であり、しかも科学者と宗教者が対話する機会は少ないことから、科学と宗教は依然として水と油のような関係にあります。

今こそ多くの方々の知恵を結集し、科学と宗教を包括する広い視点から、理解を深めなければこの問題にアプローチすることは不可能であると思われます。

本山博IARP会長は、科学者と宗教者の両方の立場を深く理解し、両者の対話と相互理解を実現するための包括的な学問の実現を目指して、研究活動を行ってきました。その成果に基づき、米国カリフォルニア州に大学院大学を設立し、「科学と宗教の統一」と「精神と物質との関わり合い」を明らかにするため、世界中の科学者や宗教者や大学院生と共に研究を進めてきました。

そこで、私達は今回の大会で、「精神と物質の関連」という観点から、この問題に対する具体的な糸口を、提示できればと考えております。

そして、この大きな問題に対して具体的な回答を出すよりも、まずはこの問題のための切り口を提示し、より根本的な解決の足がかりにしたいと考えております。

今回の年次大会においてはこの問題に関連する分野で大変秀でた業績のある先生方にお越しいただくことになりました。

「いのちの始まり」という非常に新しく、かつ難解な、そして具体的に対応の求められる問題に対して、より根本的なアプローチの道筋を、多くの素晴らしい先生方とともに、この年次大会において提示できるよう努力しようと思っております。


-講演者・討論者の紹介&講演要旨・プログラム-

-講師インタビュー

勝木 元也

島園 進

ホアン・マシア

村上 和雄

本山 博

年次大会を理解するための解説(1)(2)

 年次大会を理解するための解説(3)

リンク集

Life Sciene Information Net 受精卵は人か否か 最相葉月

生命科学関連リンク集

竹内浩昭の個人ページ

立正佼成会

大本教

年次大会のあゆみ

2001年・講演会内容

 講演会アンケート

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IARPは本山 博(文学博士)の国の内外への呼びかけによって1972年に結成された国際学術団体です。人間存在についてホリスティックに見つめ直し、身心の健康の維持、推進のための科学的研究とその結果の応用・実践をとおし、平和で豊かで健康な地球社会の実現に貢献することを願う会で、各国、各界、各専門分野の方々が参加しています。