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   WHO憲章の、健康定義変更の改正案を支持する

―― “ Spiritual ” “ Dynamic ” 二語の挿入をめぐって――

ルイス・アルベルト・モンヘ

元コスタリカ共和国大統領

(元コスタリカ大統領より本山会長へのお手紙)

 心から尊敬申し上げる本山先生へ

 元コスタリカ駐日大使のクリスチナ・ロハス女史から、本山先生が主催されるIARPの年次大会では、WHO憲章における健康の定義の改正案をめぐり、統一テーマが選ばれたと伺いました。来るべき21世紀と、それに続く1000年という長い年月を広く深く見とおされ、お選びになったテーマだと思います。

 先生がこのテーマを取り上げられた真摯な熱意とご努力に関連して、上の改正案について私の考えを手短かに述べさせて戴けますのは、私の喜びとするところであります。

 かつて私たちは、健康ということに関し、科学者たちから2つのことを学びました。

 150年以上も前に、フランスの生理学者クロード・ベルナールは、「生体(人体)においては、その各構成器官が互いに動的 (dynamic) な平衡状態を保っている」ことを発見しました。また、北アメリカの生理学者ウォルター・B・キャノンは、100年ほど前に、生体の内部環境が、ダイナミックに自動調整され、生理的なバランスを保つことにより健康は保持されていることを見出し、その働きをホメオスタシス(生体の恒常性保持機能)と名付けました。

 上のことから、私は以下のことが言えると思います。

 即ち、健康というものが、身体の自動調節機能によって保たれているのであれば、健康とは動的(dynamic)なものなのだ。だから健康は時と共に必ず変化するだけでなく、正常な範囲の内においてさえ、いつも変化しているものなのだ、と。

 一方、私たちが人間存在とは身体(物理化学的存在基盤)、心(思考、知覚、及びこれらの混合で感情と呼ばれるもの)、魂から成るということを認めるならば、当然、身・心・魂における「完全に良好な状態」complete wellbeing」について論じ得ないままで、健康について語ることをしてはならないと思うのです。社会的な、個人対個人の総合関係における「良好な状態」というのは、それぞれの人間の、身・心・魂における健康のあり方の帰結にすぎないように思います。

 私はここに繰り返し、先生がコスタリカを訪ねて下さり、我が家にもおこし下さって、心を尽くしてご指導下さったことに厚く御礼を申し上げますとともに、先生への敬愛と尊敬の気持ちを表明させて戴きます。

こころからの誠意をこめて

ルイス・アルベルト・モンヘ

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